気管支喘息
気管支喘息とは

気管支喘息とは、気道に慢性的な炎症が続く事で狭く過敏になり、咳や喘鳴(ぜんめい:息を吐く時にゼーゼーという音がする状態)や呼吸困難を繰り返す疾患です。気管支喘鳴になるとわずかな刺激でもこのような発作が誘発されやすく、特にお子さんでは走ったり、夜になると咳き込んでむせたり、息苦しくなり夜中に起きてしまう事もしばしばあります。また、特に小さいお子さんはもともと気道が狭いために風邪などをきっかけにすぐに気道が狭くなり喘鳴を認める事があります。(一時的な)喘鳴を繰り返して喘息になる事もあるため、小児の喘息の治療と管理に精通した医師にしっかりみてもらう事が重要です。
当院はお子さんの喘息に関して、多くの治療経験と指導実績があり、お子さんの喘息治療の指導に長けた看護師も在籍しています。
喘息を疑う症状や相談のタイミング
以下の症状が続く場合は、(発作を起こさない)治療が必要な可能性がありますので当院に一度ご相談下さい
- 息を吐く時にゼーゼー音がする
(お子さんの背中に触れると感じる) - 咳が多く夜に起きてしまう
- 走った時に咳き込んでむせてしまう
- 風邪をひいた際にゼーゼーがあると言われたが、また風邪をひいた
- 2回以上気管支拡張剤(メプチン)の吸入をした事がある
また、以下の場合は今後、喘息の治療や対応の説明が必要な場合があります
- ご両親のどちらかに喘息がある
(幼少期に喘息だった) - 他の医療機関で喘息と言われたが治療方針が良く分からない
気管支喘息の原因
(子どもの)気管支喘息の原因は大きく分けて2つあります。
ダニやホコリ(ハウスダスト)、花粉、動物(イヌ•ネコなど)、等
繰り返す気道感染(幼少期に良く風邪をひく)、タバコ、 ストレス、など
に分かれます。
小学生以上になるとアレルギー性がほとんどになりますが、特に乳幼児であれば非アレルギー性の場合も少なくありません。
治療に関してはどちらの場合も大きく変わりませんが、アレルギー性の場合はホコリやダニなどを吸い込むたびにそれらが気道に付着して炎症を起こすため、治療期間が長くなる傾向があります。

喘息の治療について
1~3の3点を併せて行う事が重要です
1. 薬物
喘息は「慢性の気道の炎症によって狭くなる疾患」ですので気道にある慢性の炎症を取る薬「長期管理薬」を毎日使用して頂きます。
「毎日する」理由は毎日気道の炎症を抑え続けないとアレルギー物質(ホコリなど)を吸ったり風邪をひくと気道の炎症が再度ひどくなってしまうからです。
「長期管理薬」は2種類あります。
1つ目は「ロイコトリエン受容体拮抗薬」といって炎症を起こすロイコトリエンの発生を抑える飲み薬です。
当院は、1日1回で済む点と味の面から「モンテルカスト」を処方しています。
2つ目は「吸入ステロイド」です。ステロイドを吸って気道粘膜に直接付着させることで気道にある炎症を取ります。
喘息の程度によって内服だけを続けるか吸入ステロイドを併用するかを決めます。
気道の炎症の状態は検査だけで判断する事が難しいため、喘息の程度や種類(アレルギー性がどうか)等によって「1年〜数年間」発作を起こさない事を確認してから減量や中止をします。
発作時の治療として「気管支拡張薬」を併用します。発作が強い場合は「ステロイドの全身投与(主に内服)」も併せて行います。 医療機関によってはステロイドは点滴で投与しますが内服とあまり変わりません。全身ステロイドですので気管支の炎症を取る効果は強いですが、だいたい1週間以内で中止します。 これは長期管理薬とは異なり、狭くなった気管にある炎症を「一時的に」取り、気管を広げる薬ですので、「長期管理薬」と併用して使用します。
2. 運動
目標は、「(喘息のために)制限をしないこと」です。処方されたお薬(長期管理薬)をしっかり毎日継続されておれば、制限することはほとんどありません。 場合によっては運動前に準備運動を行ったり気管支拡張薬を使用して頂く事もあります。
3. 環境
対応の一例ですが、アレルギー検査の結果に関わらず効果があるといわれています
- 屋内(特に布団やカーペット)のダニやホコリを減らす(こまめな掃除)
- ペットは出来れば屋外で飼育し濃厚接触を避ける。シャンプーやトリミングをこまめにする。
- タバコ:電子タバコ(アイコス等)も含め、屋内(換気扇の下も)では吸わない
等
最後に
喘息は子どもの時期にしっかり治療を受けておかないと大人になってから再発する可能性があります。大人の喘息は治療が難しため、当院は「お子さんが大人になったあとの将来を見据えた治療」を行っております。
喘息の治療に関して、この治療であってるのか分からない・今後の治療方針が分からない、などありましたら遠慮なく当院にご相談下さい。