夜尿症(おねしょ)
夜尿症とは

夜尿症とは、5歳以上のお子さんがおねしょを1か月に1回以上かつ3か月以上持続している状態のことを指します。小学校1年生の夜尿症のお子さんは10%程度いるとされており、治療をしなくてもその後年間約15%ずつ自然に治り、成人になるときにはほとんどが治癒すると考えられています。しかし、裏を返せば100人の小学1年生がいれば10人、その後15%ずつ自然に治っても2年生では8~9人、3年生では7人、4年生では6人、5年生では5人、6年生では4人と意外と夜尿症のお子さんが多いことがわかります。おねしょは子どもであれば誰だってするし、いつかは治るものと思っている保護者の方が多いですが、夜尿症は立派な病気で治療をしないままだと治るのが遅い、なかなか改善しないお子さんもいます。小児科で治療を行うと約2~3倍治りが早いとされています。また、夜尿症は男の子:女の子=2:1で男の子に多い病気と言われています。さらに、ご両親のどちらかが夜尿症だった場合、40%のお子さんが夜尿症になるとされています。早めの治療を行うことで、お子さんの自信にもつながりますし、学校行事でのお泊まり会なども安心して参加することができます。
夜尿症はどうして起こるの?
夜尿症は、保護者の育て方やお子さんの性格の問題ではありません。夜尿症が起こる原因は、寝ているときに膀胱(ぼうこう)がいっぱいになっても、尿意で起きることができないという覚醒障害(かくせいしょうがい)が問題であるとされています。この覚醒障害に加えて、膀胱がそもそも大きくない、ある程度おしっこがたまると膀胱が勝手に縮んでしまう、夜間のおしっこの量がそもそも多いことが重なると発生します。何が原因で夜尿が起こっているかを調べることでその原因に対して治療を行っていきます。
夜尿症の治療
まずは生活指導を行います。生活習慣の改善で本当に治るの?と思う方も多いかと思いますが、生活習慣の改善だけでも20~30%のお子さんの症状がよくなるといわれています。
また、同時に「夜尿日記」を記載いただきます。夜尿回数と夜尿量を記載することで、お子さんの治療効果確認と治療方針の決定に役立ちます。
治療に関しても、「夜尿日記」を参考に現在のお子さんに合った治療を説明の上、ご提案させていただきます。
具体的には、下記のようなものになります。
日中に十分な水分補給をする。
夜にたくさん水分を取らないようにするためです。
朝食・昼食をしっかりと食べて、夕食を寝る前の2時間前までには済ませる。
食事の際に水分をどうしても取ってしまうためです。
夕食後は水分をなるべく取らないようにする。(コップ1杯くらい)
寝る前に大量に水分を取ることでおねしょをする確率があがるためです。
塩分の摂りすぎに注意する。
塩分が多い食事だと水分が余計に欲しくなるためです。
寝る前には必ずトイレに行く。
寝る前にしっかりと膀胱の中を空っぽにすることと、寝る前のトイレを習慣化するためです。
途中で起こさない
夜間の睡眠が妨げられると、体の中で尿を作る物質が増えて、夜間のおしっこの量が増えるためです。
睡眠中の寒さや冷えから身体を守る。
体温が下がるとおしっこをしたくなるためです。
上記の生活習慣の改善を図ったとしても治らない場合は薬(体に水を貯留することで夜間の排尿を減らす)を処方します。
また、「アラーム療法」といって、夜間おねしょをした際にアラームが鳴り、トイレでの排尿を促すことで、膀胱容量の増大と夜尿量の減少が期待できる治療です。親御さんの夜間の対応など手間はかかりますが、薬を使用しないので安全に行うことができ、適応基準を満たしていれば効果が来たできる治療です。
「生活改善」を行ったうえで「服薬」「アラーム療法」を組み合わせ、「夜尿日記」で毎週の夜尿回数や量を評価しながら治療を行っていきます。
保護者の方へ
夜尿症の治療を行う際に「焦らない」「怒らない」「起こさない」「ほめる」「比べない」という5つの大事な原則があります。お子さんは周りのみんなと同じようにおねしょをしないために治療を受けに来ています。これはとても勇気のある行動です。保護者の方々は「周りの友達はこうだからできるでしょ、まだおねしょを続けるの」と子どもに言うのは絶対にNGです。本人のモチベーションがなければ夜尿症は治りづらいです。焦らず、自分のペースでということを伝え、たとえしてしまったとしても優しく見守ってください。夜中にまたおねしょをしてしまうのではないか、と心配になることもあるかと思いますが、寝ているときに起こしてはいけません。また、おねしょをせずに起きることができたときはしっかりとほめてあげてください。一緒にがんばりましょう。